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​「聞こえない音を鳴らす」 制作年 2021  映像 2分32秒

 

 

私と祖父は難聴という共通の障害を持っていた。

 

祖父の難聴は生まれつきのものだったらしく、障害者として戦争に従軍し所澤陸軍整備学校に在籍したまま終戦を迎えた人物である。

 

祖父からはよく戦争の経験を聞いていたりはしたものの、亡くなるまで難聴者としての当時の話を聞いたことがなかった。

 

亡くなってから、頭が良く、戦後は公務員としてそこそこ出世できた祖父がなぜ、兵士としてでなく整備業にいたのかをよく考えるようになった。

 

難聴で自分も苦労した経験があったことを振り返った時に、前に新聞記事か何かで読んだ難聴者の戦時中の話を思い出した。

 

当時、難聴者は戦場に送れないがために軍の工場などに勤務させられ、整備業に従事するものが殆どであったという。戦場に送れないが故かよく差別の対象になっていたという話も当然ながらあった。

 

陸軍整備学校時代の祖父は生徒の中では上のポジションにいたらしく、差別されていたかは定かではないが、整備業に進んだのはその難聴が関係していたのではないかと時々、思うことがある。

 

また、障害者の戦争経験というのは近年まではあまり言及されることもなく、最近になってようやく聞かれるようになったという話も聞いた。

 

当時、祖父が在籍した所澤の飛行場の跡地で補聴器の金属音を響かせた。

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一歩離れて/A STEP  AWAY FROM THEM
​会期 2021年10月2日〜10月25日 会場 ギャラリー無量

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